厳冬期は普段の生活では体験できない寒さがありますが、同時に美しさも秘めた世界です。今回は、冬山でテントを張った登山2日間の道具を紹介します。キャンプに行く時も基本、この装備です。
冬の世界で寝ることは一歩間違えれば危険な行為
外気温が-20℃にもなる世界です。素肌を出していれば瞬く間に凍傷になる危険があるため、安心できる道具を持っていかなければなりません。
道具紹介
冬山でテントを張って寝る為に必要な道具を紹介していきます。
寝袋
私が使用しているモデルはNANGAの900DXというモデルです。私は寒がりなのですが、-20度の冬山でも寝ることができるモデルでした。(ただ、寒さで一度目が覚めましたが、寒すぎて寝れないほどではありません)
撥水性のある40dnを表地に使用しているモデルで、シュラフカバーが不要です。少しゴワつきがあるのですが、保温力、撥水性、ともに満足できるモデルです。止水ジッパーのため、開け閉めに少し力が必要です。
冬山ではシュラフカバーは必須
シュラフカバーは必要です。テントの中は人によって温められた空気が外の冷気で冷やされ、テント内及び寝袋が結露します。凍った水滴は落下し、熱がある場所に落ちると水となります。寝袋のダウンが濡れて保温力低下につながります。
今は同じモデルがないのですが、同等の性能を誇るのがUDD BAG 810DXです。寒がりな方は100DX(最高峰モデル)が信頼できるモデルです。
ダウンウェア
ダウンウェアは主にテントを張った後、食事をする時及び寝る時に着るウェアです。ダウンはフィルパワーで品質が別れますが、数値が高い方が少ないダウン量で保温力が高いです。
800FP以上のダウンウェアを選ぶ理由
冬山では持ち運ぶ量が相当な量になります。そのため、高品質ダウンの方が同じ保温力でもダウン量に差が生まれ、収納サイズが小さくなります。
ダウンの基礎知識は下記ページで解説しています。
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フットウォーマー
テントを張った後は、基本シューズは履きません。代わりに、フットウォーマーを履きます。雪であれば、靴は履かずにフットウォーマーのみで外にできることが出来ます。足先が冷えるのは睡眠に悪影響を与えます。忘れがちですが、欠かせな重要なアイテムです。
調理器具
荷物でかさばるのは調理器具です。冬山ではお湯を注げば完成するフリーズドライフードを基本とします。そのため、お湯を沸かすことに特化してることが大切です。私が今まで使用した中で、2018年時点で優れた性能と感じるのがJETBOILのミニモです。冬のバーナーで大切なものは下記の通りです。
燃焼効率が優れ、より多くの水を沸かすことができる
ガス缶、バーナー、クッカーの3点を隙間なく収納できること
低温(-20度)でも火力が落ちない機能が搭載されている
この3点をバランス良く達成しているのが、ミニモです。また、それと組み合わせて使うガス缶にも工夫が必要です。
沸点
プロパン:-42.1℃ イソブタン:-11.7℃ ブタン:-0.5℃
封入されているガスの割合により、低温で得られる火力の強さが違います。市販されているガス缶でプロパンの配合率が高い方が冬山ではより多くのお湯を沸かすことができます。
PRIMUS IP-250U:プロパン30% イソブタン70%(気化促進機構搭載)
JETBOIL ジェットパワー:プロパン22%、イソブタン73%、ブタン5%
寒冷地にもっとも適しているのは250Uですが、ジェットボイルでも寒冷地でお湯を沸かすことができると言えます。
魔法瓶
沸かしたお湯は魔法瓶に入れます。雪を溶かす為の呼び水として利用したり、冷たい水から沸かすよりも、魔法瓶に入れていたお湯を沸かす方が早く時間の短縮につながります。同時に燃料の節約にもなります。魔法瓶はできる限り寝袋の中に入れるなりして、保温するようにすると良いです。
マット
冬山では、エアマットより、クローズドセルマットレスが信頼できます。
クローズドセルとは
外気と触れることがない気泡がフォームの中にたくさんあるものを指します。空気の移動が極めて少なく、断熱性に優れています。
エアマットを使わない理由として、空気が万が一抜けた際のリスクを回避すること、及びエアマットの中の空気が地熱の影響を受けやすく、断熱性にはあまり優れていない点です。冬山では雪の上で寝る為、断熱性を重視しないと底冷えがひどく、寝ることができません。
テント
山岳テントは優れた軽量性・耐風性・保温性を備えています。荷物も多いので、できる限りコンパクトかつ軽量、そして強風にも耐えうる強さが必要です。シングルウォールよりダブルウォールの方が保温性に優れる為、冬山では有効です。
雪上で設営するにはスノーアンカーが必要
土の上ではペグと呼ばれるものを刺すことで地面に固定します。しかし、雪であればペグは細すぎて固定できません。その為、枝などにロープを巻きつけて、雪中に埋めます。
サングラス・ゴーグル
雪は多くの紫外線を反射します。目に入るとダメージが大きい為、コンディションに応じて目の保護ができる道具は必須です。
ザック
上記の道具をザックに入れますが、40Lに収めることができます。しかし、幾つかのポイントがあるので紹介します。
雪山は雨が降らないので、防水性は基本考えない
寝袋は収納袋に入れずに、ザックの底に入れて、上から圧縮する
マットは幾つかに切り分けて用途別にし、ザックの中に筒状に入れる。
上記のポイントを踏まえると必然と収納スペースが少ないザックになります。ザックの外にギア類をつけることが多く、外ポケットのアクセスが悪くなり使うことがありません。また、圧縮して入れる為、内側から外側への圧力が大きいです。外についているポケットは潰れ、収納性が下がります。また、使わないポケトを省く為、全体の重さを軽くできます。
マットを筒状に入れます。筒の中に寝袋、防寒着、テント、調理器具、魔法瓶、飲みもの、食料等の順に入れます。寝袋は40Lのザックに対して4割近い場所を占めるので、基本真上から押し込んで収納します。
寝る時は、マットとザックをうまく組み合わせて使用します。
登山道具
場所に応じてスノーシュー/アイゼン・ピッケルを組み合わせて行動します。状況に応じてはヘルメットも必要でしょう。これらの道具はザックの外につけます。
スノーショベル:テント場を作るのに使うほか、雪崩が起こった際に救出する為に使います。すぐに使えるよう、外につけるのが基本です。
ゾンデ棒:埋まった人を探すのに使うほか、雪の深さを測ることにも使います。テントのポールと合わせてザックの外につけます。
ダブルウォールカップ:朝暖かい飲み物を入れるのですが、長時間でも冷めにくいのが特徴です。
40Lで収めることは、なかなか難しいのですが、荷物を小さくすることは行動の負担を少しでも減らし、2日目の行動可能範囲を広げます。多少犠牲にする持ち物もありますが、得られるメリットも大きいです。
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