まだ使えるのに、、ってなった時は私はできるだけ修理して使い続けるようにしています。
修理をすることは、物を永く使うことに繋がりますが、実のところはバッグの作り方を勉強するのに多いに役立ちます。
ただし、これから紹介する方法では職業用ミシンを使用していますので、少し専門的な内容が含まれています。はじめに私が使用している職業用ミシンとはなにかを知りたい場合は下記をご覧ください。
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ARC’TERYX アロー22を購入する
はじめに、今回購入したバックパックはこちらになります。


街で見かけることも多いこのバックパックはARC’TERYX(アークテリクス)といい、アウトドアで良く用いられる縫製、生地で作られたものです。そのぶん値段も高いバックパックとなります。
ジャンク品の相場は極めて安い
オークションサイトでファスナーが一部壊れているものを見つけたので、格安にて購入することが出来ました。値段が安い理由はこれ。

写真のようにファスナーについているスライダーが外れて、機能していません。修理となると方法はだいたい二つです。
ファスナーを購入し、分解して新品のファスナーを取り付ける
リフォーム屋で修理してもらう
リフォーム屋で修理してもらう方法
リフォーム屋に関しては、かなり綺麗に仕上がります。私は以前ジャケットのポケットの底が破けた為、心斎橋リフォームで修理依頼をしました。仕上がりは綺麗で、感動した覚えがあります。
検索すればリフォームできるお店は存在しますので、お近くのお店、もしくはネットで依頼するのも手段のひとつです。ファスナー修理で検索するとだいたい7,000円~修理が可能となっています。
値段だけ聞くと、普通は高いと感じるでしょう。でも、行程を知ると簡単ではない作業に、自分自身が請け負うならそれぐらいもらいたい程手間がかかります。
自力で修理をする方法
次に紹介するのは全部一人で行う方法です。この方法は手間もかかる上、経験が必要となります。でもその経験は貯まってゆくものです。今後道具を自作するとなると、このファスナー修理の経験が活きてきます。
デメリットとしては修復が出来ない場合があります。例えば生地の破れにより縫うことが出来ずに修復が出来ない恐れはあります。
あと時間もかかります。揃っていない部材や道具があると、スムーズに作業はできません。
それでもリメイクをオススメします。ものを永く使い、同時に勉強も出来て、さらに安く購入出来ます。
修理に使うファスナーを購入する
ファスナーの種類を調べる
ファスナーといっても、種類が沢山あります。それぞれの簡単な違いを紹介します。
その名の通り、エレメント(務歯とも言います)が金属でできています。重さはありますが、強度が強いため、バックでは負荷のかかる場所での利用に最適です。
エレメントが樹脂でできています。柔軟性があり、金属ファスナーに比べ肌当たりが良いので、衣類などに最適です。
エレメントが樹脂でできており、一つ一つが大きいため、コイルファスナーのように生地を噛むことも少なく開閉がスムーズです。コイルファスナーのような柔軟性はありません。
以上がファスナーテープの大まかな種類です。次にテープにつけるスライダーを紹介します。
ファスナーを表で使用した際に組み合わせるスライダーで、基本のスライダーです。エレメントが表に出てきます。
エレメントが表に出てこないので、表情が変わります。この状態で使用する場合は、裏使いのスライダーを使用します。
セミオートは、不意に開いて欲しくない場所に使うスライダーです。例えば、勝手にバッグの荷のおもさで口が開いてくるのは、カバンに使われてるスライダーがセミオートでないことの現れです。
今回のカバンに付いているものはコイルファスナーかつ、止水ファスナーと呼ばれるものです。
コイルファスナーのテープ部にコーティングを施し、水に対しての防水性を高めたものです。止水ファスナーは裏使いのスライダーと組み合わせる必要があります。
以上が大まかなファスナーの種類です。修理をする際はついているのファスナーが何に当たるのかを見極めなければいけません。
その上で欲しいファスナーの種類が判明した時には、下記のお店で購入するのがオススメです。
・インターネットの糸屋さん
https://itoyasan-bobin.com/
特徴としては
少量の場合送料の安い定形外郵便で送ってくれる 希望の長さで購入出来る
止水ファスナーは、切り売りではなかなか売っていないので、指定の長さで購入できるお店はありがたいです。

今回は80cmだったので、1mと止水ファスナーに対応したスライダーをひとつ購入しました。色は黒しかないのですが、ファスナーの色を変えて、自分だけのリメイクバックパックを作るのも楽しさのひとつですね。
スライダーがひとつの場合と二つの場合で開き方が変わってきます。基本はスライダー二つで開けるのが便利なので、二つ購入することをオススメします。
バックパックを分解、縫い直す
完璧に仕上げようとは思わない
一番始めにお伝えしたいことです。
ミシンが違うので、完璧に修復するのは難しいです。バッグを縫うなら最後の仕上げは腕ミシンと呼ばれるミシンで最後仕上げると綺麗な縫製が可能です。
今回使っている平ミシンは名の通り平たいものを縫うのに特化しています。ファスナーを仕上げたりする工程は綺麗に仕上がります。
バッグの内側のバイアスを縫う作業(行程でいえば一番最後)は平ミシンではかなり無理がありますので、ここは元通りではなくテープが外れないようにするという気持ちで縫いましょう。
バッグを裏返しにして、解いていく
基本は裏返しにすることから始まります。服でも鞄でも、基本は表になる面を内側にして縫い合わせます。それを裏返すことで表となる面が出てきます。
この鞄も例に漏れず、裏返しから始めます。この記事の冒頭で紹介した動画内で雰囲気は伝わりますが、ファスナーを再度綺麗に縫うためには結構分解しないといけません。
ひとつにミシンがカバン専用ではないということです。使用している平ミシンでは平面上で縫う事を目的としているので、立体となると物理的に縫うことが出来ない、もしくは困難な場所が出てきます。
今回行うファスナー交換に関して、縫い目の仕上がりは全体の完成度に直結します。縫い目がガタガタだと、全体の印象が変わります。

写真のように綺麗に仕上げるためには平面上で生地とファスナーを縫える環境をつくる必要があります。
そのためにはファスナーとは関係ない場所は不必要にほどかず、ファスナーと関係ある場所はすべてほどいていきます。
縫いをはずす際に、再度縫い直すことも考える
バッグの縫い目を外す時、最小限の分解をするとこを心がけます。今回の場合でいえばファスナーテープが取れれば良いので、テープが取れるギリギリまでは外して、テープと関係ない生地の縫いははずさないようにします。

壊れたファスナーを無事に取り外すことができれば今度は縫いの段階です。その前にミシンの事前準備を行います。
生地がコーティング加工されている場合は押さえも交換
生地に防水加工(ポリウレタン加工というものが一般的)されているものをミシンで縫う場合、生地は基本中表で縫う(表になる生地を内側にして裏地を表にして縫うこと)ので、ポリウレタン加工が表にきます。
これをミシンに通そうとすると、生地が滑りにくくスムーズに通りません。そこで登場するのが滑りが良い押さえ(テフロン押さえ)です。

通常の押さえと違い滑りが非常に良いので、縫いズレがかなり起きにくくなります。セットしている白い押さえがテフロン押さえです。
工業用の針は#14、糸は#30がオススメです
上記の組み合わせはジーンズなどの厚地を縫う際に一般的に用いられている組み合わせです。アウトドアの道具も生地が厚いので、この組み合わせがオススメです。
ファスナーをカットし、両端を生地で固定する
服の場合はエレメントの部分に留めを付けます。これはスライダーが外れないようにするものです。
バックパックの場合は服のようにファスナーが分離する必要がないので、両端を生地でとめてスライダーが外れないようにします。

このときにスライダーをあらかじめセットしておく必要があります。
スライダーを挿入する向きを元とは逆にセットした場合開閉方向が逆となります。セットが完了したら、ファスナーの両端は生地と共に縫いを行いましょう。
分解したときに縫い目が幾つかあったと思います。基本の縫いの手順は下記のように縫われています。

例に習って縫いを進めてください。2ndの工程を地縫いと言います。
ファスナーを縫い付けた生地を本体に再度縫い付けると、一気にバックパックらしくなります。

解いた場所を再度縫い直す
ここからが平ミシンでは難しい工程となります。何せ、狭い場所に針を刺すのも難しいです。
最初にお伝えした通り、完璧を目指すのではなく、生地が外れなければ良いので、ゆっくりと確実に縫っていけば良いです。縁のテープに関しては平ミシンではかなり難しい行程となります。
アイテムと修理の部材に関する総合計
ザック本体:3,500円(送料込み)
止水ファスナー(1m)+スライダー:680円(送料込み)
計 4,180円
中古なので、各部の消耗こそ見られるのですが、まだまだ使用できそうなバックパックです。
最後に、この記事は実践するのが難しい内容でしたが、お伝えしたかったのは、壊れたから捨てるのではなく、修理して使えるなら、使い続けましょうという気持ちです。
今後もこの記事が誰かの役に立つかはわかりませんが、私が修理しながら使っているものに関しては記録し、皆様に記事を通して情報発信していければと思います。
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