プロダクトデザインとは、WEBとは違い実世界で製品使って良し悪しを決める部分があります。その為、様々な考察の上カタチがつくられます。ものを作る上で参考にしている書籍をまとめました。ものを作るとはどういうことか、プロダクトデザインについて深く知りたい方への参考になれば幸いです。
デザインを知る
誰のためのデザイン?

優れた製品は使う人を不満足にさせません。そのため、良い製品を筆頭に、同じような機能で発売してる製品ってすごく多いですよね。この書籍は、そんなコピー論を説いてるものではありません。モノを作るということは、どのような人が使って、それがどういった利益を生み出すのか等々、様々な考察が必要なものです。
当書では、基本的な考え方としてHCD(Human Center Design)に基づいた話になります。人間が製品を使うわけで、人の行動、心理に基づいて設計を行わないといけないという考え方です。結果として、使い易い優れた製品となるわけです。その上で、この本は人の心理学的側面からのアプローチがあり、プロダクトデザインは心理学と非常に強い関わりがあることがわかります。Appleが優れた製品をリリースし続けるのも、外観のデザインがすぐれている以上に、心理学を重視したインターフェイスにあります。
私が学生の頃、いきなり歴史の本から座学が始まりましたが、まずデザインについての興味が出ないうちは、見ても頭に入ってこないです。笑 まずはデザインがなぜ必要なのか。をしっかり理解した上で情報を吸収していくのが良いです。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論 [Amazon]
プロダクトデザインを深く知る
溶けるデザイン

「デザインを知る」で紹介したように、デザインには心理学との関わりが強いです。その基礎知識の元、今のIT時代に合わせた考え方を示したのがこの本です。温故知新という言葉があるように、時代に合わせた手法をとっていかないと、時代の波とともに消えつつあります。
本書はWEBのインターフェイスに関わる記述が多いのですが、プロダクトデザインにも関係する心理学的側面の解説は参考になります。デザインの指針が記載され、決して方法論を説明している点ではないので、根本的な考え方をわかりやすく理解出来る良書です。
実例として、パソコンのマウスを大きく動かしても、カーソルが1mmしか動かなかったとします。あなたはきっと、そのマウス及びパソコンを壊したくなるでしょう。笑 脳と行動した結果は強い結びつきがあることを前提に、様々な事例が掲載されています。
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計 [Amazon]
問題解決に効く「行為のデザイン」思考法

プロダクトはHCDの関係性が強く、この本は人間の行為からアプローチして設計を行う考え方を示した書籍です。人は形状から、どのように使うのかをイメージすることができます。これは経験によるものです。丸くて膨らみがあれば、押したくなりますし、持ち手があれば掴みたくなります。そのため、形状で行動をアフォーダンス(誘導)することが可能です。特にこの本では所作・作法といった美しい動作をアフォーダンスするというデザインの可能性を発見できます。
しかし、同時に経験がない中で機能を提案しても、伝わらずに意図しない使われ方をする場合もあります。照明のスイッチなんかはわかりやすい例です。ON/OFFの区別がつかない範囲では、人はとりあえず押してみるしかないのです。そして結果を確かめます。スイッチは本来は的確に電源を切り替えるためにあるはずなのに、誘導が不十分かつ、それらが複数個あると大きな混乱が発生します。笑
デザインは単にモノが完成すれば終わり、だけでなく、その先に創り出す環境の可能性を感じることができる本で、デザインの方法論も記載されているため、一冊手元にあると、困った時に新しい着眼点で取り組める参考書的な位置付けです。

著者である山中俊治さんの分析による本です。デザイナーとエンジニアの両方の経験を持つ独特の感性に触れることができる本です。実際にある製品について分析をしてあるため、情報吸収が難しい技術の面でもアプローチがあります。
1つの製品につき数ページなので、定期的に読み返すと新しい着眼点を発見できます。スケッチが線で構成され、コピックをさらっと入れた洗練されたもので、一見の価値はあります。
UXデザインの教科書

この書籍は万人ウケするものではありません。UX(User eXperience)についての教科書です。UXはプロダクトにも関係し、WEBを通して体験するか、もしくは物を通して体験するか、の違いです。そのためUXは避けては通れない知識です。HCDも人間中心を説いてるデザイン論なので、感情に直接響くUXはとても重要であることは間違いないですよね。使い勝手の悪い携帯なら、すぐに捨てたくなるのが例としてあげられます。
当書では歴史のほか、概念、手法などのデザインに求められる方法論が詳しく記載されています。そのため、この本を購入してデザインは終了であはりません。あくまで基礎です。下記で説明するレイアウト、色、形、素材、さまざまな考察が必要となります。デザインは知識の量でアウトプットが変化するため、基礎知識を習得、そして見直したい人は一冊手元にあればUXに関する書籍は不要と言えます。ただし、文字ベースなので、教科書として存在する本です。
素材・加工法を知る
素材とデザインの教科書 第3版

製品を製作する上で欠かすことのできな知識が素材です。この書籍は基本的な材料である樹脂・金属・紙・木・布などが紹介されています。あとは、自分が作りたい分野の材料知識を深めていく必要がありますが、大枠を捉えることができます。また、素材の特徴を生かした製品を合わせて紹介しているため、イメージがつきやすいです。
「もの」はどのようにつくられているのか?

この本では、一つの製品にフォーカスして、それがどのように作られているかを見ることができます。素材を知っていても、加工法を把握していないと思わぬトラブルにもなります。加工方法のイラスト・図が多いため、部品を設計する場合に製作可能な形状かどうかを判断する知識を得ることができます。
「もの」はどのようにつくられているのか? ―プロダクトデザインのプロセス事典 [Amazon]
形の表現力を鍛える
あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ

プロダクトは実物があるため、形状は使う人に様々なメッセージを発します。もちろん製作可能な形状であり、採算がとれることが前提条件ではあるのですが、この書籍では、カタチが発するメッセージを筆者の柴田文江さんの感性で記載されていて、とても参考になります。カタチを決める方法論はデザイナーの感性による部分が大きく、様々なカタチを見て、吸収するしかありません。この書籍は、貴重な感性に触れた一冊と言えます。
あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ [Amazon]
Katachi

この本は写真集の為、見るたびに読んだ後に得られる情報が変化します。この本の良いところは、日本の美しいカタチの要素をモノクロページで表現している点です。その為、ものを見るには考察力が必要ですし、それを生かすも殺すも読者自身ではあります。しかしプロダクトデザインをする上ではフォルムは非常に重要な要素の一つでもあるので、一冊持っておいて定期的に見ると、いろいろな情報を吸収できる本です。
色の表現力を鍛える
配色アレンジBOOK

配色は人の感情へダイレクトにメッセージを発します。この書籍は膨大な配色パターンが啓されているため、色の印象等を確かめるのに最適な書籍です。方法論を深掘りして掲載はされていませんが、色を見て、感じる印象がデザイナーには大切なことであり、こうしたデータブックは貴重な書籍です。
最新の情報をキャッチする
AXIS
プロダクトの専門誌、AXISです。隔月で発表され、デザインを深掘りして紹介されています。特に、レイアウト、写真が非常に綺麗です。最新の情報はwebでも吸収できますが、深掘りされた最新のテクノロジーを見るのは難しいので、専門誌の購読はお勧めできます。
以上、2018.01時点で読んだ本の中で特にお勧めできる書籍の紹介です。プロダクトデザインは必要な知識が多いですが、この知識は他の様々なことで役にたつ知識です。楽しみながら勉強しましょう。
下記は2020, 05時点で追加してオススメしたい本のご紹介となります。

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